ようこそスペースシャトル。新たなる使命へのラストフライト。

Space Shuttle Discovery DC Fly-Over
Space Shuttle Discovery DC Fly-Over / NASA Goddard Photo and Video

ディスカバリー最後のフライト

昨年その実用を終えたアメリカのスペースシャトルディスカバリー」が、ケネディ宇宙センターから展示先となるアメリカ国立航空宇宙博物館のある首都ワシントンD.C.まで専用機で空輸されました。

スペースシャトル・ディスカバリー、ワシントンD.C.へ(sorae.jp)

ニュースや現地の方のツイートなどを見ると、ダレス国際空港へ真っすぐ飛んだのではなく上空で旋回を繰り返し、最後のフライトを市民に披露したようです。
写真や映像を見ていて不思議に感じたのは、きっとワシントンの上空にいるからでしょうね。翼を持った宇宙船が再び登場して一般の空港でも離発着ができるようになるか、あるいはトラブルでも起こらない限り、これだけ人口が密集した土地の上空に宇宙船が飛来することはないでしょう。
今後は航空宇宙博物館の展示物となりますが、貴重な遺産として、また将来宇宙へ向かうことになる子供達の原体験としても大切にされていくことになります。
型名OV-103。試験機を除いて打ち上げに使用された3番目のスペースシャトルであり、先に打ち上げられた「コロンビア」と「チャレンジャー」が共に事故で失われたため、現存する最も古い機体となりました。

竜の時代へ

一方で、次の有人飛行へ向けた準備も着々と進んでいます。

ドラゴン、ISSと初のドッキングへナショナルジオグラフィック

民間企業のSpaceX社が開発を進めている宇宙船「ドラゴン」が、いよいよ国際宇宙ステーションとのドッキング試験を行います。予定通りであればゴールデンウィーク中に結果が出ることでしょう。
現状で人間を宇宙に運ぶ手段はロシアの「ソユーズ」しかありません。これは3人乗りで、改良を重ねてはいるものの開発そのものは米ソ冷戦期の月着陸レースに遡ります。いわば「アポロ」のライバル。
ロシアも次期有人宇宙船の開発を進めていますし、ヨーロッパや日本もそれぞれが持つ無人の輸送用宇宙船「ATV」や「こうのとり」を発展させた有人宇宙船の開発を検討していますが、ポストシャトル時代の先鞭を着けるのが「ドラゴン」ということになります。
また「ドラゴン」は民間が開発した初の宇宙船としても記録されることになるでしょう。他にもボーイング社が「CST-100」という有人宇宙船の開発を表明しているほか、民間ではありませんがNASAで運用される予定の「オリオン」もロッキード・マーチン社で開発が続けられています。「オリオン」は先のブッシュ政権シャトル引退を受けて開発を始めた有人宇宙船で、オバマ政権に移ってから計画の中止が検討されたこともありましたが、今のところは継続されているようです。
これらの多くは2010年代にも最初の打ち上げが予定されていますし、他にも軌道を周回せずにちょっとだけ宇宙に顔を出して戻ってくるサブオービタル宇宙旅行の計画も幾つか存在しています。10年後には各国から様々な宇宙船が打ち上げられ、宇宙がより身近なものになっているかもしれません。