徳さんでフラクタルマップ!その6

実はそこにいた


「我々は外洋船を更に東へと向かわせた。奴隷王リンカーンが治めるアメリカを越えたところに別の大陸があるのではないかと考えたのだ。もしも最後の文明と接触することが適わなくとも、今や英雄となった彼らを南方の港で迎えることができる」



「……」



「ん?」


あれ?



「や、やあ」



サラディンか。いつからそこにおった」



「いやほら、ちょっと地図を見てくれ」




「地図がどうかしたのか」



「黄色いズールー領の端っこに立つとほら、見えるだろう?」



「何がだ」



「ここの、ほら、黄緑色の…」



「……あー、あーあーあー」


見えますねたしかにちょこっと。



「あー、そうか。気付いてなかったんだ…いや、気付いてくれてるんじゃないのかなあと思ってたんだけどひょっとして気付いてないのかなあとふっと心配になってこっちから来てみたのだよ…」


というわけで、たまたま自動探索にさせていた戦士がズールー領の端っこで最後の文明・アラブのサラディン接触を果たしました。
ちょっと拍子抜け。



「それにしても浮かない顔だな」



「ああ…ちょっと外交関係がな…」


ここで先日の先取り世界地図の登場です。



「…モンゴル&ズールーと戦争中だと!?」



「ちょっと外交がうまく回らなくてな…ああでもいいんだ、絶望サラディンと呼ばれるこの私には実にふさわしい状況だからな」


この星では戦争屋の敵をサラディン先生が一手に引き受けてくれていました。
リンカーンが地続きだったらもう少し微妙な世界情勢になっていたかもしれませんが、二人大陸のチンギスと海峡越しのシャカを相手に頑張ってくれる先生カッコイイ。

絶望先生の絶望



「しかし立地からして見事なまでの絶望だな」


宗教を創始しやすい文明が幾つかあって、アラブもその一つなんですが、序盤の拡張期に直接寄与しない技術を開発して宗教を創始し、都市を築く開拓者や戦闘を行うユニットに使うべきハンマーを宗教施設や宣教師に注ぎ込むため、どうしても拡張が遅れがちになります。
ビザンチンユスティニアヌスのように、宗教を創始しつつも手堅く拡張し、戦争も好むという指導者もいるものの、サラディンは内政も戦争も微妙な感じ。
まあ怒りっぽい戦争屋の盾になってくれる分にはいいのです。異教で隣国だったらターゲット。



「あーなんか疲れたな。もういいんじゃないか?」



「いいだろう。これだけ闘えば俺も満足だ」



「えーもう終わりかよ」


ふおーん(停戦の合図)
アラブが抵抗を諦め、ズールーの属国になりました!


あれっ。



「絶望終了」


アラブも本国は無事のようですから文化勝利の目は残っていますが、AIサラディンが文化勝利を狙ったのは個人的には見たことがないのでこのゲームは終了ですね。



「投了できないAIは悲惨だのう」


アラブを従えたことでスコアも一歩抜きん出たズールー、残る隣国はマヤのみとなりました。海越し(しかも間に属国アラブ)のモンゴルよりも、国境問題を抱えるマヤに矛先を向けることは必定です。



「っていうか一回戦争してなかったか」


気が付いたら停戦してましたね。そのあとチンギスに誘われてアラブ叩きに回ったのでしょう。
未知の文明との間にどのような外交関係が結ばれているかを知る術はありません。こちらも相手の文明と知り合いにならないとわからないので、未知の国と戦争をしていてもわかりません。



「シャカに呑まれる前にマヤを救ってやらねばならん」


そうですね。えへへ。



「お主も悪よのう」


文化押ししまくるコロ助がいけないのです。


つづく