弱点に見るiPhoneの強味

今日の孫さんによる三大弱点…「絵文字」「ワンセグ」「バッテリー」の克服に向けた施策の発表に、iPhoneの強味を感じ取ることができるように思います。
バッテリーライフはともかく、絵文字とワンセグは日本のケータイ文化独特*1のもの。世界共通仕様で販売されているiPhone 3Gにこれらを持ち込むことは非常に大きな労苦を伴うことと想像しますが、絵文字については次期メジャーアップデートであるiPhone OS 2.2にどうやら含まれそうですし、ワンセグについてはケーブルすら使わずWiFiとAppStoreを通じた視聴アプリの配布で解決してしまいました。


絵文字については再三Appleに働きかけたという孫パワーに拍手を送りたいところですが、ワンセグ視聴も含め、もしこれが一般的なケータイであれば後継機種の登場によって初めて「ワンセグ搭載!」「絵文字に対応!」といった言葉がカタログ上で踊ることになるでしょう。2.1アップデートで実現した受信感度やバッテリーライフの向上も同様であると思います。


しかしiPhoneは同じ個体のソフトウェアを書き換えたり、アプリケーションを追加するだけで対応してしまうのです。


去年初めてiPod touchに触れた時、事前に知っていたとはいえホームボタンと電源ボタンとマルチタッチディスプレイだけというそのUIは衝撃的でした。iPhoneではこれに音量調節ボタンとマナーモードの切り替えスイッチが加わりますが、オンフック/オフフックのボタンすらも存在しません。
アプリの起動から文字入力まであらゆる操作をマルチタッチで行う、これがiPhoneの強味の一つとなっていることに初めて気づかされました。


絵文字に対応するからといって、テンキーのどこかに「絵」なんていう機能を示す文字を足し記す必要は無いのです。
ワンセグが見られるようになるからといって、専用のボタンを設けることもありません。
iPhoneインターフェイスのほぼ全てはディスプレイ上に描画されるものであり、追加も削除も全てソフトウェア上で済ますことができるわけですから、新機能の登場によって物理的なUIに手を加えるようなことをせずとも、今までの操作感の中に新たな機能を溶け込ませることができるのです。
利用者がバージョンアップさえすれば、発売日に購入した人も来年購入するであろう人も等しく同じサービスを享受することができますし、提供されるハードウェアは同じものですからキャリアの負担もそういう点では減ってくるのではないでしょうか。


半年ごとに叩き売られることもなく新たなサービスにはそのまま対応することができる(iTunesは必須だしワンセグ見るにはチューナーが要るけど)iPhoneは、愛着を持って永く使うことのできる良き「道具」としてすでにここにあるのです。




公衆無線LANし放題については、ユーザーから見ても魅力的ですし、キャリアから見ても3Gのトラフィックを減らせる利点があるからこそ提供されるのでしょうね。データARPUが減らないかとも思うのですが、おそらくiPhoneユーザーの多くは定額上限を大幅に超えた通信量を叩き出しているでしょうから、アクセスポイントの無料開放も含めた収入減よりもメリットの訴求とトラフィックの改善の方がずっと大きいのでしょう。

*1:2.2ベータで絵文字を呼び出すのに「非公開のAPI」が必要な理由は、孫さんが「日本語のキーボードからしか呼び出せない」と発言したことからもそれが日本独自のものであるからであるような気がします。あくまでも絵文字は日本語という言語の一部であって世界に広めるつもりはそんなに大きくないのではないかと。