残る二人も解放
親父曰く「全部グルになってて裏で金の取引があるんじゃ」と言っていた人質事件が日本人に関してはひとまず全員解放と相成りました。
いやぁよかった。万歳。と言えますかどうか。
クベイシ氏でしたか法学者協会だっけ、聖職者協会もそうですが、イラクにおけるイスラムの指導者的組織についての認識は日本国民にとって今までほとんど無かったと思われますが(私も知らなんだ)今回の件によって周知されていくかもしれませんね。
日本で言えば仏門の各宗派とかそんな感じになるのかも知れませんが、暮らしと宗教がとても密な(私はそう思います)イスラム社会においてはその存在は大きいと。
武揚伝を読んでいるせいもあってか何となく幕末日本と今のイラクを対比させて見てしまいがちなここ最近の私ですが、我々からすれば当時の日本は決して野蛮な国ではなく、それは現在のイラク国民から見たイラクも同じこと。彼らには彼らの筋道だった考え方があって、それを踏みにじるような行いに対して怒っているわけでしょう。独裁政権もどうかと思いますが誤射誤爆放題の占領軍統治もどうかと思います*1。
もうすでに彼の地は、ある意味でヴェトナムの再現になっていると思います。
土地に住む人々が真に求めてはおらず、反感を醸成し、本来反抗勢力ではなかったであろう人々まで自ら駆り立てつつある。
官軍兵と彰義隊がダブるのは武揚伝の影響。決定的に違うのは、イラクの官軍と彰義隊は民族も宗教も何もかもが違うということ。仮に中東に強大なイスラム合衆国があり、ニューイングランドという北米大陸の国が独裁政権の支配下にあったとする。合衆国はニューイングランドを開放するとして軍を進め、独裁政権を蹴散らすことに成功する。しかし解放軍は混乱する治安を半ば放置し、旧政権残党の掃討作戦において教会を攻撃し病院を誤爆し学校も巻き込む戦闘が後を絶たない。ついにボストンで武装した市民集団を含む勢力と解放軍との間で衝突が起こったりしてしまう。そう単純に立場を置き換えることは難しいかもしれないけれど、考えてみて損はなかろうになあ*2。
テロに対抗するっていうのは、正規軍をぶつけることだけを意味するのだろうか。
テロへと進む動機を絶つという意味では、アメリカの政策に対抗することも「テロに対抗する」と言えるのではなかろうか。
対テロ戦争から大量破壊兵器の破壊へと主眼がシフトし、今また混乱を極めつつあるイラク情勢において、米軍はむしろテロリズムの苗床をせっせと整えているような気がしてくる。
テロが無くなっては困るのだろうか、あの国は。